2025.05.19

ガス・電気温水器よりお得?エコキュートの基本知識&メリットを徹底比較

「エコキュート」という言葉、最近よく耳にしませんか?

  • 「お得になるって聞くけど、本当かな?」
  • 「ガス給湯器や電気温水器とどう違うんだろう?」

そんな疑問をお持ちの方も多いでしょう。給湯器は、毎日の暮らしに欠かせないお湯を供給する重要な設備です。

一度設置すると10年以上使い続けることが一般的だからこそ、ご家庭に最適な一台を選ぶことは、毎月の光熱費の節約はもちろん、環境への配慮や万が一の災害への備えにもつながる重要な選択です。

この記事では、近年注目されているエコキュートについて、その基本的な仕組みから、ガス給湯器・電気温水器との徹底的な比較、そして導入によって得られるメリットや知っておくべき注意点までを、専門知識に基づいて分かりやすく解説します。

1.エコキュートの基礎知識:仕組みと主要部品

エコキュートは、従来の給湯器とは一線を画す、革新的な技術を採用しています。ここでは、その核となる仕組みと、主要な構成部品について詳しく見ていきましょう。

(1)エコキュートとは何か?基本的な定義

エコキュートとは、正式名称を「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」といいます。これは、空気中に存在する「熱」を利用してお湯を沸かす、環境に優しい電気給湯システムです。

従来のガス給湯器や電気温水器とは異なり、燃焼や電気ヒーターに頼るのではなく、ヒートポンプ技術を用いるのが最大の特徴です。

  • 自然冷媒を使用:オゾン層破壊係数がゼロの自然冷媒(CO2)を使用しています。
  • 高効率:少ない電気エネルギーで効率よく熱を運び、お湯を沸かします。

この革新的な技術により、高い省エネ性能と環境負荷の低減を実現しています。

給湯器の種類熱源主なエネルギー源
エコキュート空気の熱 + 電気電気
ガス給湯器燃焼(火)ガス
電気温水器電気ヒーター電気

エコキュートは、次世代の給湯システムとして注目されており、多くの家庭で導入が進んでいます。この後、さらに詳しい仕組みや他の給湯器との違いについて解説していきます。

(2)空気の熱を利用してお湯を作るメカニズム

エコキュート最大の特徴は、空気の熱を利用してお湯を沸かす点にあります。これは、エアコンや冷蔵庫と同じ「ヒートポンプ技術」を応用したものです。

具体的には、以下のプロセスでお湯が作られます。

  1. 熱の吸収: ヒートポンプユニットが外気の熱を取り込みます。
  2. 冷媒の圧縮: 吸収した熱を使い、内部を循環する自然冷媒(主にCO2)を圧縮します。圧縮されると温度が上昇します。
  3. 熱交換: 高温になった冷媒が、貯湯タンク内の水に熱を与えます。この熱によって水がお湯になります。
  4. 冷媒の膨張・循環: 熱を失った冷媒は膨張し、再び熱を吸収できる状態に戻ります。

この仕組みにより、投入した電気エネルギーの数倍もの熱エネルギーを生み出すことが可能です。

一般的な電気ヒーター式とエコキュートの比較は以下のようになります。

加熱方式エネルギー源効率(目安)
電気ヒーター式電気投入電気1に対し熱1
エコキュート電気+空気の熱投入電気1に対し熱3~6(最適環境・瞬時効率では 5 以上、年間通じては 3〜4)

このように、空気中の「再生可能エネルギー」を活用するため、非常に効率的にお湯を沸かすことができます。

(3)エコキュートを構成する機器(ヒートポンプユニット、貯湯タンクなど)

エコキュートは、主に以下の2つの機器で構成されています。

  1. ヒートポンプユニット
  • 屋外に設置され、空気中の熱を取り込む役割を担います。
  • 取り込んだ熱を利用して、貯湯タンクへ送る水を温めます。
  • エアコンの室外機のような見た目をしています。
  1. 貯湯タンクユニット
  • ヒートポンプユニットで温められたお湯を貯めておくタンクです。
  • 必要な時にここからお湯や水が供給されます。
  • 設置場所によって、薄型や角型などのタイプがあります。

これらの主要機器に加え、配管やリモコンなどがシステム全体を構成しています。

機器名主な役割設置場所(一般的)
ヒートポンプ空気熱でお湯を沸かす屋外
貯湯タンク沸かしたお湯を貯める屋外または(屋内貯湯タンクを室内に置く場合は「屋内仕様」を選択し、通気口や排水トレイが必要です)

これらの機器が連携することで、効率的にお湯を作り、供給しています。

2.ガス給湯器・電気温水器との比較:導入メリットと特徴

ここでは、エコキュート、ガス給湯器、電気温水器の3種類を比較し、それぞれの特徴や導入時のメリットについて解説します。給湯器を選ぶ際の重要なポイントとして、初期費用、ランニングコスト、設置場所、災害への対応力など知っておきたいことを簡単にまとめました。

(1)導入費用とランニングコストの違い

給湯器を選ぶ上で、初期費用と日々の運転にかかるランニングコストの比較は非常に重要です。

エコキュート、ガス給湯器、電気温水器それぞれの導入費用とランニングコストには以下のような違いがあります。

項目エコキュートガス給湯器電気温水器
導入費用高め中程度高め寄り
ランニングコスト安い(特に夜間)燃料費による高め

エコキュートは、本体価格や設置工事費を含めると導入時の初期費用は他の方式と比べて高くなる傾向があります。しかし、空気の熱を利用してお湯を沸かすため、使用する電気エネルギーが少なく済みます。特に、電力会社の夜間割引プランなどを活用することで、ランニングコストを大幅に抑えることが可能です。

一方、ガス給湯器は導入費用が比較的抑えられますが、ガスの使用量に応じたランニングコストがかかります。電気温水器は、電気ヒーターで直接お湯を沸かすため、エコキュートより効率が悪く、ランニングコストが高くなる傾向があります。

このように、初期費用とランニングコストのバランスを考慮して、ご自身のライフスタイルや使用量に合った給湯器を選ぶことが大切です。

(2)お湯を沸かす方式の違い(火 vs 電気ヒーター vs 空気熱)

給湯器は、それぞれ異なる方法でお湯を沸かしています。

  • ガス給湯器: ガスを燃焼させて発生する熱でお湯を直接温めます。瞬間的にお湯を作れるのが特徴です。
  • 電気温水器: 電気ヒーターを使って貯湯タンク内の水を温めます。電気ケトルのような仕組みです。
  • エコキュート: 大気中の「空気の熱」を利用してお湯を沸かします。ヒートポンプ技術という仕組みを使い、少ない電気でお湯を効率よく温めるのが最大の特徴です。

方式の違いをまとめると以下のようになります。

給湯器の種類お湯を沸かす方式主なエネルギー源
ガス給湯器ガス燃焼による直接加熱ガス
電気温水器電気ヒーターによる加熱電気
エコキュート空気熱を利用したヒートポンプ電気+空気熱

この方式の違いが、ランニングコストや環境性能に大きく影響します。エコキュートは空気の熱という再生可能エネルギーを利用するため、エネルギー効率が高いとされています。

(3)設置場所や工事の要点

エコキュートはヒートポンプユニットと貯湯タンクの2つの機器を設置する必要があります。それぞれの設置場所には考慮すべき点があります。

  • ヒートポンプユニット:
  • 運転時に騒音(約40dB程度)が発生するため、隣家や寝室の窓から離れた場所が推奨されます。住宅密集地では隣家の窓や寝室から 2 m以上離す/防振ゴムを併用するなどが推奨されます。
  • 設置には基礎工事が必要です。
  • 貯湯タンク:
  • サイズが大きいため、十分なスペースが必要です。
  • 満水時はかなりの重量になるため、設置場所の強度が重要です。

ガス給湯器や電気温水器と比較すると、エコキュートは設置スペースが広く必要で、工事内容も基礎工事や配管工事などが含まれるため、やや大がかりになる傾向があります。具体的な設置場所の選定や工事については、専門業者との綿密な打ち合わせが不可欠です。

給湯器の種類必要な設置スペース主な工事内容
エコキュート広い基礎工事、配管工事、電気工事
ガス給湯器比較的コンパクト配管工事、ガス工事
電気温水器やや広い(タンク部)基礎工事、配管工事、電気工事(エコキュートよりは簡便な場合も)

このように、エコキュートの導入には設置場所の確保と工事内容の理解が重要となります。

(4)災害時の対応力比較

災害時、特に停電や断水が発生した場合、給湯器の機能は生活に直結します。ガス給湯器、電気温水器、エコキュートにはそれぞれ異なる強みと弱みがあります。

給湯器種類停電時の対応断水時の対応貯湯タンクの利用
ガス給湯器基本的に使用不可(一部製品は非常用電源対応)基本的に使用不可なし
電気温水器停電中でもタンクに残っているお湯は使用可能(飲用不可)基本的に使用不可タンク内の水を非常用生活水として利用可能(飲用不可)
エコキュート停電中でもタンクに残っているお湯は使用可能(飲用不可)一部製品は非常用電源対応基本的に使用不可タンク内の水を非常用生活水として利用可能(飲用不可)

エコキュートや電気温水器は、貯湯タンクに貯められた水を災害時の非常用生活水として利用できる点が大きな利点です。ただし、あくまで生活用水であり、飲用には適しません。ガス給湯器は、基本的にガスと電気の両方が供給されないと使用できません。このように、災害時の対応力は機器の種類や機能によって異なりますので、導入検討の際は確認が必要です。

3.エコキュート導入の主な利点

エコキュートは、光熱費の削減、環境負荷の低減、災害時の備えといった多岐にわたるメリットを提供します。従来の給湯器からの切り替えを検討する上で、これらの利点を詳しく見ていきましょう。

(1)光熱費削減につながる仕組み

エコキュートが光熱費削減に貢献できる理由は、主に以下の2点です。

空気の熱を利用してお湯を沸かす効率の良さ

  • エコキュートは、大気中の熱を利用して熱エネルギーを作り出し、お湯を沸かします。これは、化石燃料を燃焼させたり、電気ヒーターで直接水を温めたりするよりもはるかに少ない電力で済みます。
  • 投入した電気エネルギーに対して、3倍~6倍もの熱エネルギーを生み出すことができます。(COP:成績係数)

電気料金の安い時間帯を利用できる

  • 多くの電力会社では、夜間の電気料金が昼間よりも安く設定されています。
  • エコキュートは、この安い夜間電力を使って効率的にお湯を沸かし、貯湯タンクに蓄えておくことができます。
  • 日中に貯めたお湯を使うことで、電気料金の高い時間帯に給湯器を稼働させる必要がほとんどなくなります。

これらの仕組みにより、特に給湯にかかる光熱費を大幅に抑えることが期待できます。

特徴エコキュート従来の給湯器(ガス・電気ヒーター)
エネルギー源主に空気中の熱 + 少量の電気ガスまたは電気ヒーター
効率COP 3~4(投入電力の3~4倍の熱を生む)燃焼効率・電気変換効率(1に近い)
電気利用時間帯安価な夜間電力を活用し、昼間の利用を抑える必要に応じて随時稼働

(2)環境への貢献度(CO2排出量)

エコキュートは、地球温暖化の原因となるCO2排出量の削減に大きく貢献します。これは、お湯を沸かす際に火を使わず、空気中の熱を利用するヒートポンプ方式を採用しているためです。

従来のガス給湯器や電気ヒーター式給湯器と比較すると、その差は明らかです。

給湯器の種類主な熱源CO2排出量(目安)
エコキュート空気熱+電気少ない
ガス給湯器ガス(燃焼)多い
電気温水器電気ヒーター比較的多い

※ CO2排出量は使用状況や電力会社の電源構成により変動します。

特に、再生可能エネルギー由来の電力と組み合わせることで、さらに環境負荷を低減することが可能です。家庭でのエネルギー消費の中でも給湯は大きな割合を占めるため、エコキュートに切り替えることは、ご家庭でのCO2排出量削減に直結し、持続可能な社会の実現に貢献できるメリットと言えます。

(3)災害時にも役立つ機能

エコキュートには、万が一の災害時にも役立つ機能があります。地震や台風などで断水が発生した場合でも、貯湯タンク内にお湯や水が残っていれば、生活用水として利用できる可能性があるのです。

  • 非常用取水栓: 多くのエコキュートには非常用取水栓が備わっており、災害時にタンク下部から水を取り出すことができます。飲用には適さない場合が多いですが、トイレや洗濯などの生活用水として活用できます。
  • タンク容量: 貯湯タンクの容量が大きいほど、より多くの水を確保できます。一般家庭向けでは370〜460L程度のタンクが多く、これは世帯数によりますが1~2日程度の生活用水に相当する場合があります。

災害時は水道の復旧に時間がかかることもあります。エコキュートの貯湯タンクは、そうした緊急時に備える一つの手段となり得ます。ただし、タンク内の水は時間とともに劣化するため、あくまで緊急時の利用に限られます。

機能概要活用例
非常用取水栓タンクから水を直接取り出せる栓トイレ、洗濯、掃除などの生活用水
貯湯タンク容量蓄えられる水の量(容量が大きいほど有利)数日分の生活用水の確保

(4)利用可能な補助金や優遇制度

エコキュートの導入にあたっては、国や自治体からさまざまな補助金や優遇制度が提供されている場合があります。これらを活用することで、初期費用の負担を軽減できる可能性があります。

例えば、国の制度としては、住宅省エネ化支援事業などが実施されることがあります。また、お住まいの自治体でも、独自の補助金制度を設けているケースが多いです。

主な制度の例:

  • 国の補助金制度(例:給湯省エネ2025事業、住宅省エネ2025キャンペーン)
  • 地方自治体の補助金制度

補助金の対象となるエコキュートの機種や申請期間、手続きなどは制度によって異なります。導入を検討される際は、最新の情報を確認することをおすすめします。補助金情報をまとめたウェブサイトや、販売施工店に相談するのも有効な手段です。これらの制度を賢く利用し、お得にエコキュートを導入しましょう。

4.導入前に確認したいエコキュートの懸念点

エコキュートは多くのメリットがある一方で、導入にあたって注意すべき点も存在します。ここでは、主な懸念点として、初期投資額、設置場所、湯切れの可能性について解説します。これらの情報を把握し、ご自身の家庭環境に最適な選択をしましょう。

(1)初期投資額について

エコキュートを導入する際に、まず気になるのが初期費用でしょう。エコキュートは、ガス給湯器や電気温水器と比較して、本体価格や設置工事費を含めた初期費用が高くなる傾向にあります。

一般的な目安としては、以下のようになります。

給湯器の種類本体価格(目安)工事費(目安)合計費用(目安)
エコキュート20万円~55 万円10万円~20万円50万円~75万円
ガス給湯器9万円~21万円5万円~10万円14万円~31万円
電気温水器15万円~40万円5万円~10万円20万円~50万円

※上記はあくまで目安であり、機種や設置状況により変動します。

このように、エコキュートは初期投資がやや高額になりますが、長期的な光熱費削減効果や補助金の活用によって、数年~10年程度で初期費用分を回収できるケースが多いです。初期費用だけで判断せず、ランニングコストや補助金なども含めた総合的な視点で検討することが重要です。

(2)設置場所の確保

エコキュートを導入する上で、設置場所の確保は重要な検討事項の一つです。エコキュートは主に以下の2つのユニットで構成されており、それぞれの設置スペースが必要です。

  • ヒートポンプユニット: 外気を取り込むため、屋外に設置します。エアコンの室外機のような見た目で、運転時には音が発生するため、隣家との距離や設置場所の向きに配慮が必要です。
  • 貯湯タンクユニット: 沸かしたお湯を貯めておくタンクです。容量によって大きさが異なり、設置場所の広さだけでなく、建物の基礎がしっかりしているかどうかも確認する必要があります。

一般的に、必要な設置スペースは以下のようになります。

ユニット必要なスペースの目安(奥行×幅)備考
ヒートポンプユニット約30cm × 80cm〜機種により異なります
貯湯タンクユニット約70cm × 70cm〜タンク容量やメーカーにより異なります

これらのユニットを設置するためには、ある程度の広さの屋外スペースが必須となります。特に集合住宅や敷地面積が限られている住宅の場合、事前に設置場所を確保できるか、専門業者に相談して現地調査を依頼することが大切です。また、配管工事なども伴うため、設置場所からキッチンや浴室までの距離も考慮に入れる必要があります。

(3)湯切れの可能性とその対策

エコキュートは貯湯タンクにお湯をためておく仕組みのため、設定量以上のお湯を短時間で使うと「湯切れ」を起こす可能性があります。特に、来客が多い日や家族が続けて入浴・シャワーを使う場合などに起こりやすい懸念点です。

湯切れを起こすと、再びお湯が沸き上がるまで時間がかかり、その間お湯が使えなくなります。

湯切れを防ぐための主な対策は以下の通りです。

  • タンク容量の適切な選択: ご家族の人数やライフスタイルに合わせて、必要な湯量を賄えるタンク容量のエコキュートを選びましょう。
  • 湯切れ防止沸き増し機能の活用: 夜間にお湯を沸かす設定にしつつ、日中の湯切れに備えて沸き増しを行う設定も可能です。
  • 沸き増し機能の活用: お湯の使用量が増えそうな日は、事前に「沸き増し」ボタンを押して、タンクのお湯を増やしておくことができます。
  • 学習機能の活用: 最新機種には、過去のお湯の使用パターンを学習し、自動的に必要な湯量を予測して沸き上げる賢い機能を持つものもあります。

これらの対策を講じることで、湯切れのリスクを減らし、快適にエコキュートを利用することができます。

5.エコキュートの基本知識&メリットまとめ

この記事では、エコキュートの基本的な仕組みから、ガス給湯器や電気温水器との比較、導入のメリット・デメリット、そして導入前に確認すべき点について解説しました。

項目内容
最大の特徴ヒートポンプ技術による空気中の熱を利用した効率的な給湯
メリット・少ない電気エネルギーで効率よくお湯を沸かす・夜間電力活用で光熱費を大幅に削減・災害時、非常用生活用水として活用可能
環境への配慮・火を使わない・自然冷媒(主にCO2)を使用・CO2排出量の削減
その他貯湯タンクにお湯を貯めておく方式

エコキュートは、初期費用はかかるもののランニングコストの削減や環境への貢献、災害時の備えといった多くの利点があります。ご自身のライフスタイルや家族構成、住環境に合わせて、最適な給湯器選びの参考にしてください。

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